※家庭教師パラレル(My Private Teacher含、計三作品)シリーズ後日談。
今まで書いたロク(ニル)アレの中では比較的砂糖多め。設定はこんなん(↓)
・ライルとアニューは大学の同窓生(CPではない?)
・アニューは図書室司書、ライルは一般企業勤め。
『朝のメールはどういう意味なんですか?ライル』
穏やかな日差しが眠気を誘うオフィスで、同じ様に穏やかな空気をまとっているかつての同窓生・アニューの声が通信端末を介してオフィス内に響く。
休憩時間で人がいないのが幸いだ。
もし端末で女性と話をしているのを見られた日には、先輩社員―――クラウスやシーリンに暫くからかわれる羽目になるところだった。
内心ほっとしながら、ライルはネクタイを緩めつつ彼女の言葉に耳を傾ける。
『そもそも、どうして貴方が研修生のことを知りたがっているの?』
『いや、兄さんがやたらとアレルヤの話をするもんだからさ。ちょっと、気になって』
まさか、兄がゲイだとか、かつての教え子とどういう関係なのかが知りたいとは言える筈もない。
適当に言葉を濁しながら、単なる好奇心であることを伝えると、学生時代の何事にも首を突っ込みたがるライルの性格を思い出したのだろう、ようやく彼女は納得してくれたようだった。
アニューは穏やかな物腰の割に、変に几帳面で頑固な面があるので―――説き伏せるのは至難の業だ。
まだ何か言いたそうにしている彼女に誤魔化しの笑みを向けると、ライルは早速情報の聞き出しにかかった。
『そうね…アレルヤはとてもいい先生よ。時々、生徒にからかわれたりしているけど』
「ふうん?他の先生とはどうなんだ」
『ロックオン―――貴方のお兄さんと一緒にいることが多いかも。補佐役として、ってこともあるけど、イアンさんの話では、元々家庭教師とその教え子だったみたいだから、その辺りも理由になっているのかしらね』
楽しそうに笑う彼女の口ぶりからすると、結構な話題になっているようだ。
図書館に詰めていてあまり学内を出歩かない彼女ですら知っているのだ、きっと相当に騒がれているに違いない。
更に質問を重ね、ついでのように今日の兄の様子を尋ねてみた。
すると、一瞬だけきょとんとなったアニューは、「そういえば」と顎に指を当てて出来事を思い出そうとするような仕草をする。
『……そういえば、昨日は図書室に来ていました』
「また、図書委員の手伝いで?」
以前、図書委員の当番がサボりばかりで困る、と愚痴っていたことがあった。
いつもきちんと当番をこなしてくれるのはフェルトだけだ、と困ったように笑っていた兄の姿を思い出してそれを告げると、アニューはそうではない、と首を振った。
『調べものをしていたみたい。でも、時々窓の外を熱心に眺めていたから―――それだけ、少し気になったかしら』
ふと思い当たるものがあって、ライルは会話をしながらパソコンのディスプレイに映っている時計にカーソルを持っていく。
今は二月の末で、寒さも段々と緩んでくる時期だ。
確か、何年か前の今頃、賑やかな通信が入ったのだ――――――あの記憶があまりにも鮮明で、ライルはすぐにその記憶の主幹となっている相手への通信を決心する。
「助かった、アニュー。参考になったよ」
『?ええ、力になれたのなら良かったけど…お兄さんと何かあったの?』
いや、何かあったんじゃなくて、何かがないかを調べてるんだ。
生来の口の軽さが、殆ど無意識にその言葉を紡ぎそうになったけれど、すんでのところで抑えて何とか咳払いに変換することに成功した。
「じゃ、またな」
不自然極まりないタイミングで挨拶をすると、ライルは急いで通信を切る。
途端、どやどやと賑やかな声を上げながら、食事に出かけていた仕事仲間たちが一斉にオフィスへと入ってきた。
ギリギリ間に合った、と胸を撫で下ろし、ライルは何事もなかったかのように手を動かして、仕事を続けていることをアピールした。
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えろなシーンは一切ないですが、ロックオン(ニール)は幸せ者だなーって感じの本です(笑
元ネタは英語ができない私ならではのオヤジギャグ。
つーかそれだけの為にP数割いてる私はかなりのアホだという自覚がある。
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