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(………君のせいだよ、ハレルヤ)
きっと…いや、間違いなく『起きて』いるであろう片割れの名を、アレルヤは恨めしげに呟く。
彼の恨み言の経緯を説明するにあたって、時刻を数分ほどさかのぼる。
ミッション直後で疲労気味だったアレルヤは、段々と疼いてくる気持ちと必死に戦いながらロックオンの言葉に相槌をうち、とにかくこの場をどう切り抜けるかを考えていた。
膝の上にはハロ、そして目の前にはハロを構いにやってきたロックオン・ストラトス。
常ならばほほえましい光景なのだろうし、実際この組み合わせで会話をしていると、自然と和やかになる。
しかし、今回は状況があまりにも違いすぎていた。
ミッションの直後で、しかも互いにまだ着替えてすらいない状態。
体力・精神力の消耗も激しく、アレルヤ自身、なんだか全身が気だるくて―――なかなか動く気にならなくて。
思えば、その惰性がいけなかったのだろう。
近くで会話をしているうちに、段々といつもの波がやってきてしまって―――ロックオンがせっかく何かを言おうとしているというのに、耐えられなくなってきてしまった。
勿論、なんとか耐えよう、と思ったのだ。
ハロが乗っていたから辛うじて軽く盛り上がりかけていた場所は隠れていたし、気分としては今は期ではない、と判断して黙っていようとしたのに、そんなアレルヤの思いを片割れが綺麗に無視してくれた。
「…どけ、オレンジ玉」
すぐ傍にいるロックオンには聞こえず、しかしハロの集音装置にギリギリ届く声量でその一言だけを呟くと、片割れ―――ハレルヤはすぐに主導権をアレルヤに返す。
機械とはいえ、『アレルヤ』の異変を敏感に察したのだろう、アレルヤが状況を理解する頃には、ハロは勢いよく膝から飛び出し、自らロッカーに激突してしまっていた。
不思議そうにハロを見やるロックオンにも申し訳なかったが、彼以上にハロに申し訳がなかった。
その上、戦闘後の興奮を鎮める為に、という建前で行うようになった『恒例行事』を彼(と呼んでいいのかは不明だが)のいるこの部屋で行うことになってしまったのは、ひとえにハロを脅してどかせてしまった自らの片割れであるハレルヤが原因だ。
…というのが、アレルヤの恨み言の矛先たり得る根拠である。
(驚かせてごめんね、ハロ――――)
誤魔化そうとして結局失敗し、転がっていってしまって今や何処にいるのか分からないがハロもいるこの部屋で、なにやら恒例行事に移行しかけている自分たちを認知しながら、アレルヤは何ともいえない気持ちになる。
「ん」
目を瞑れ、とロックオンが視線で訴えてきたのに気づいて目を瞑ると、程なく柔らかいものが唇に触れてくる。
勿論それが何なのかは分かっていたので驚きも恥じらいも(多少はあれど)ない…のだが。
「ちょっと、ロックオン」
「ん?」
「…多くないですか?回数」
軽いキスが続くものだから腕で押しのけて終わらせようとするも、本気で力を入れている訳はないので当然、逃れられなかった。
「まあ、いいだろ?減るもんじゃないし」
にっと笑ってそう言われてしまえば、そうだとしか答えようがない。
ここで少しでも不満げな顔をすれば多少は遠慮してもらえるものの、そうすると年上なのに妙に子どもっぽく拗ねてみせたりするものだから手に負えない。
こちらの良心に訴えかけて、断りづらくしているのだ。
(ずるいよ、全く)
キスの合間にふう、と小さくため息をついて、この後はどうしたものかとふと考える。
シャワーを浴びてきてからの方が良かったのだが、この調子だとこのままの可能性が高いし、正直互いに我慢もきかないだろう。
そもそも、ミッション直後だというのにこんな風に考え事をしていられること自体、稀なのだ。
考え事に入るのはいつも後始末を終えてゆったりとベッドに入りなおした頃のことで、それまでは大抵まぐわいにばかり意識が集中してしまっている。
堕落しているのでは、と思わないでもないが、思うだけでは生理現象は収まる筈もなく、また人間の三大欲求に逆らえるほどの強靭な精神力も持ち合わせていない。
ただの人間である二人は、結局僅かな疑問符を頭の片隅に置いたまま、こうして事に及ぶのだ。
「シャワーは…」
「やった後なら一度で済む。そっちの方が合理的だろう?」
アレルヤがちらりとシャワーブースに視線を向けると、ロックオンはその視界をさえぎるように顔を寄せてくる。
どうやら、拒否権はなかったらしい。
早々に諦めて「了解」と答えれば、それがそのまま開始の合図となった。
さすがに構造的に脱がせてもらうのはロックオンが大変だろうと思い、アレルヤは自らパイロットスーツのファスナーを下げる。
アレルヤの行動に気づいたロックオンは、静観するかと思いきや、襟首を持って脱ぐのを手伝ってくれた。
「ありがとう」
「どういたしまして。…って、それはこの場じゃ言いっこなしだろ」
苦笑しながらそう指摘され、アレルヤはどう答えたらいいのか分からず、首を傾げてしまう。
「野暮だろう?」
これ以上は聞いてくれるな、といわんばかりの語調だったので口を噤んだが、結局よく分からなかった。
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みなみさんとの合同誌「Love Phantom」より抜粋。
うん…パイスーエロですはい。
偶然パイスーネタかぶったとです
かぶったと知った時はすげーでぃすてぃにーを感じた(笑
(↑互いに本編沿いネタとしか言ってなかった)
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