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※1期・元人革連兵アレルヤ設定ロクアレ話(18禁)プレビュー
「優しさの向こう側」の続編的位置ですが、これ単品でも読めます
廊下の向こうから、はしゃいだ風な女性の声が聞こえてきた。
ほぼ直角の十字路かT字路ばかりのこの艦―――プトレマイオスでは、角にさしかかるまで、相手の姿を確認することはできない。
しかし、この状況下に不釣合いな底抜けに明るい(と言うと本人が怒り出しそうだが)声の主は、ただ一人だ。
「――――――やっぱりクリスか」
「あら、ロックオン」
丁度ロックオンがやってきた道の方に背を向けていた彼女…クリスティナ・シエラは、振り返るなり意外そうな顔をする。
そして、その彼女の後ろには、つい最近仲間に加わったばかりの男の姿があった。
「アレルヤも一緒だったんだな」
言ってから、クリスに向けていた視線を、彼女の後ろに控えていた彼―――アレルヤへとスライドさせる。
視線を受けたアレルヤは、鋭いアッシュ・グレイの目を僅かに見開いた後、その目をやんわりと細めて会釈をした。
彼は、僅かに口元に笑みを浮かべて何かを言おうとしたが―――彼の口から声が出るよりも先に、クリスが口を開いて補足する。
「丁度、人革連のシステム構成を聞いていたのよ」
「へえ?」
「私が想像していた以上に古かったみたい。逆に入り込みづらい仕様になってるわ」
クリスの独り言のような言葉に、ロックオンは内心でアレルヤに労いの言葉を投げる。
プトレマイオス内においてソフト面の担当であるクリスティナの質問攻めは、他に類を見ない程にしつこく細かいのだ。
システムを理解するにあたっては、細かい部分まで確認しておかなければいけないのは自明ではあるものの、パソコンを扱うにあたって必要であろう常識程度の知識しかないロックオンやアレルヤにとってはどうでもいい、もしくは何のためなのか分からないものにまで、彼女は興味を示す。
それらの全てに答えたらしいアレルヤは、そのせいか、少し疲れている風に見えた。
「――――――お前さん、この後シミュレーションじゃなかったか?」
「え?はい、そうみたいですけど」
「なら、今の内に食事を取っておかないと、食いっぱぐれるぞ」
ほら、と言って手を引くと、それだけでアレルヤが目を丸くする。
元々切れ長であるせいでその変化はとても微細なものだったが、それだけでもロックオンを驚かせるには十分だった。
「忙しいのに引き止めてごめんね」
「大丈夫だよ。それじゃあ、また後で」
すぐに取り繕った笑みで表情に蓋をすると、アレルヤはなんでもない風な声で彼女に応じる。
身長的に先ほどの表情を見られなかったクリスは、そんなアレルヤの態度を特に疑問に思うこともなくロックオンとアレルヤの横をすり抜けて行ってしまった。
進路からして、向かう先はブリッジだ。
恐らく、これからオペレータとしての業務が待っているのだろう。
その小さな背中を見送ってから、アレルヤは改めて自分の腕を捕らえる年上の男の手を見やった。
「…ロックオン、あの」
「ん?ああ、これか」
気にしているようだったので、すぐに手を解放してやると、離れた途端にアレルヤは複雑そうな顔をした。
慣れない感覚が離れてほっと安堵している風でもあるし、ぬくもりが離れて寂しいという風にも見える。
それは、きっと両方が正解なのだろう。
彼―――アレルヤ・ハプティズムは、つい先日、この私設武装組織【ソレスタル・ビーイング】に仲間入りしたばかりの男である。
現在はガンダムマイスターの一人としてGN‐003【キュリオス】に搭乗しているが、それ以前は人類革新連盟の地上基地所属の一兵卒であった。
組織が彼の存在を認知したのは、このキュリオスを乗りこなしてみせたことがきっかけだった。
計画開始前に、手違いで紛失したキュリオスを人革連が回収し、アレルヤに与えなければ―――キュリオスの存在も、アレルヤの存在も、組織は認識できなかっただろう。
そう考えると、彼が人革連に所属してくれていて助かった、という意見が組織共通となり―――やがて、彼が元々は敵勢力にいた、という事実はなかったことのようになっていった。
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こんなんです。
ハードではないと思うんですがアレなシーンが混じってるので18禁扱い。
すごくどうでもいいんですけどタイトルの由来、「優しさの向こう側」がアレルヤの事、今回の本がロックオンの事を指しています。
・優しさの向こう側にあるのは、全てのものに対する拒絶
・触れた指先が伝えるのは、利害を伴わない愛情
みたいな。
でもこれわざわざ書くと興ざめだな、と思って、本文にはしっかり書きませんでしたという。
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