※俳優ニール×SPアレルヤな現代パロ
ぶった切るところが見つからなくて短めですごめんなさい
アイルランド出身のニール・ディランディは、一昨年のドラマ出演をきっかけに人気が急上昇した俳優である。
正直に言ってしまえば演技は素に近い、といってもいいのだが、整った顔立ちに反した人懐こい笑みと性格が、彼を人気者へと引き上げていったらしい。
今ではほぼ毎日仕事が入っている状態で、去年からとうとう彼にも専属SPがついた。
所属事務所の方針で一定レベル以上のタレントにはSPをつけるということになっている為の措置なのだが、ニール自身はその必要性をあまり感じていない。
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
「ああ、お疲れさま」
「お疲れ様ですー!」
控え室を出てすぐのところにいた同じ仕事で呼ばれていた役者たちに挨拶をすると、足早に廊下を歩いていく。
その斜め後ろには、いつの間にか件のSPが張り付いていた。
「建物内じゃ、さすがにテロリストなんて出ないぞ?」
「仕事ですから」
至極当たり前のように左斜め前を歩き始めたSPに、ニールは思わず苦笑したが、当然のようにSPは取り合わない。
要人警護を専門とする警備会社「シークレットサービス」から派遣されてきた彼は、今年で四年目だという腕利きのSPだ。
漆黒の髪を肩ほどまで伸ばし、僅かに浅黒く焼けた肌、黒のスーツにサングラス、という、いかにもな風体の男である。
サングラスのせいで顔立ちは分からないが、年は恐らくニールと同じか少し上くらいだろう。
筋肉質のようだが見た目にはそれほど反映されないようで、隆々たる筋肉ゆえにスーツに着られがちな一般的なSPよりはずっとスーツ姿が似合っている。
「――――――今日の予定はこれで終了ですね?」
「ああ。あとは買い物して家に帰るだけだな」
「……デリバリーを利用するつもりはないんですか?」
残る最後の「予定」を告げると、途端にSPの眉が中央に寄る。
いつどこからやって来るかわからない危険から対象者を守る彼からすれば、いつ誰がやって来るかわからない場所にほいほいと向かうことはいいことではないのだ。
それは分かっていたが、駆け出しの頃からの習慣を今更変えるつもりがないニールは、歩みを速めると僅かにSPの前に出てその顔を覗き込む。
僅かに高いSPの目を見上げるような形になると、サングラスの黒に隠れて、困惑しきりの彼の表情が少しだけ見えた。
「あのな、俺は料理がしたいの。分かるか?こういうのは案外息抜きになるんだよ」
「………分かりました、お供します」
SPとしてはなかなか物分りがいいようで、早々に諦めた彼はがっくりと項垂れる。
「なんならうちで食べていったらどうだ?」
「遠慮します」
「人員の都合とはいえ、いつも一人で仕事してると疲れないか?セキュリティもしっかりしてるし、俺の家でゆっくり―――」
「ディランディさん。僕は…」
「―――――分かったよ、我がまま言って悪かった。だからせめて「ディランディ」はやめてくれ。「ニール」で頼むよ」
困らせすぎてしまったらしく、困惑がとうとう声にも現れ始めたところでニールが白旗を揚げる。
真面目な彼を追い詰めてはいけない、そう思い、今日もニールは諦めざるを得なかった。
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中盤?くらいまではちょっぴりアレルヤ攻っぽい気がします(笑)
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