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※アレルヤとヒクサーとグラーベちゃん。
前提!(復習も兼ねて一部同じ事かいてる)
・アレルヤは拾われっ子で元ギンガ団(←ポケモン使って悪い事する集団)で、現在はポケモン育て屋
・(ここには出てこないけど)ハレルヤもアレルヤと同じ境遇で、放浪ポケモントレーナー(時々帰ってくる)
・ディランディ兄弟はCB所属(ギンガ団に対抗してる民間組織)
・アレハレは最近ニールのお誘いでCB入り
・ヒクサーとグラーベはCB諜報部所属
・ヒクサーもアレルヤと同じ元ギンガ団(しかも幹部)
上記踏まえてどぞ!
仲間になることを了承した途端、アレルヤの家には来客が増えた。
主に傷ついたポケモンを療養させたいのでしばらく預かってほしいという内容が多く、今回訪れた情報部所属だという青年も、そのようだった。
依頼内容は、彼の所持ポケモン「ギャロップ」の一時預かりである。
ギャロップは炎のたてがみを持つ優美な馬の姿をしており、その美しさからとても人気があるポケモンだ。
ただしとても気位が高く気性も荒い為、捕獲が非常に困難。
従って、大抵は育て屋に捕獲したポニータを預けるか、自らの手で育てるというのが主流である。
「ほら、拗ねるなよギャロップ!」
青年が連れてきたギャロップは、彼が手ずから育てたのだろう、よく懐いている風に見えた。
青年のふわふわとした金髪に頬を摺り寄せて「離れたくない」とばかりにくっついているその姿は、なかなか懐かないといわれるあのギャロップの姿とは思えない。
古傷もいくつか見受けられるから、きっと彼と共に幾度となくポケモンバトルをこなしながら育ってきたのだろう。
「えーと…アレルヤ、だっけ?」
「はい」
ヒクサー、と名乗った青年は、ギャロップを引き剥がすのをひとまず諦めると、ふと楽しそうな表情でアレルヤを見やった。
ポケモンにびしっと命令ができない優柔不断な青年かと思えば、淡いスカイブルーの瞳は思いのほか鋭く、今でこそ柔和な笑みの形を作っているが、真面目な表情を作ればかなりの美形に入るだろう。
一瞬だけ見えたその真面目な表情の面影に、アレルヤはなにかを思い出しかける。
(……あれ、この人、どこかで?)
どことなく、その優しさ混じりの眼差しは組織時代に時折直接指導をしてくれた幹部に似ているような気もした。
しかし、その幹部は無口だったので、目の前のヒクサーとは似てもにつかない。
「あの、僕の顔に何か?」
先ほどからこちらを見続けている青年にいたたまれなさを感じて声をかけると、明るい雰囲気の割にあまり話しかけてこなかった彼はとたんに人なつこそうな笑みを向けた。
「いや、大きくなったなあって思っただけ。覚えてない?オレ、昔ギンガ団で時々子供たちの練習相手してたんだけど」
「・・・・・・・・・もしかして、いつもギャロップ一匹だけで僕たちの相手をしていました?」
「そーそー。そのときのギャロップだよ、こいつ」
傍らのギャロップを振り返りながら、「元幹部」は快活な笑みを浮かべた。
――――――アレルヤの記憶が確かなら、その幹部はしゃべらないどころかにこりとも微笑まない人だった。
いつも何かに思い悩んでいるような顔をして、たった一匹、ギャロップだけであらゆるタイプのポケモンを持つ子供たちを、文字通り一蹴していた。
(人って変わるものなんだなぁ・・・)
顔立ち以外に全く面影のなくなった元幹部の青年を前に、アレルヤは感慨深い気持ちになる。
印象はまるで変わってしまったが、今の彼はとても生き生きしているようにみえた。
心なしかギャロップの表情も違うような気もする。
「――――――っと、いけない。外でグラーベちゃんが待ってるんだ。それじゃ、ギャロップのこと頼んだぜ」
「ギャロップは納得していないみたいですが・・・いいんですか?」
そういわれて、ようやくヒクサーは自分のギャロップが服の裾をくわえていることに気づいた。
一瞬驚いた顔をした後、困った顔になっていく。
「ギャロップ、今回行くところは道も険しいし、・・・今のおまえの足は、無理するより休んだ方がいいんだ」
そう言っても、ギャロップはじいっと主を見つめるばかりで服を離そうとしない。
つきあいの長い相棒なので、こういうときのギャロップはてこでも動かない事を、ヒクサーはよくわかっていた。
いよいよもって困り果てていると、傍らで一人と一匹のやりとりを見ていたアレルヤが、一歩前にでてくる。
「あの、これに入れていったらどうでしょう」
「・・・それは?」
「イアンさん・・・近所のボール職人さんからいただいた、ヒールボールです。入れているだけでポケモンを癒してくれるんだそうですよ」
「それなら、連れて歩いても問題ないな」
「っグラーベちゃん!」
敷地の外で待っていた筈のヒクサーの相棒―――グラーベが、いつの間にか背後でうんうんとうなずいている。
明るい色彩のヒクサーとは逆で、全身が真っ黒の青年だ。
肩にはこれもまた彼に似た色彩のポケモン、ヤミカラスが鎮座している。
「だいたい、こんなに軽い脚のけがでギャロップを置いていってどうする。海以外ならほとんどの場所をギャロップに乗って行くくせに」
「・・・・・・脚のけがはどんなに軽くても命取りになるの!」
「・・・でも、それでもギャロップはついていきたいみたいです」
ギャロップの鼻筋をなでながら、アレルヤが畳みかけるように告げる。
とどめのようにギャロップが不機嫌そうに嘶いて、ヒクサーはとうとう白旗を揚げた。
「~~~わかったよ!でも、絶対にボールからは出さないからな。分かったか、ギャロップ?」
がっくりと肩を落としたヒクサーのすぐ横で、グラーベが苦笑を浮かべているのが目に入り、アレルヤもつられて笑ってしまう。
「…騒がせてしまってすまなかった」
「いえ、ずっと静かな家だったので、こうして賑やかになるのは嬉しいです」
「そう言ってもらえると気が休まる。急ぎの任務なのでこれで失礼するが、今度会う時には改めて自己紹介させてもらおう」
早速ボールに入れようと奮起しているヒクサーが外に向かうのを追いかけながら、グラーベは短くそう挨拶して、アレルヤの家を後にした。
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