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※前提設定
グランコクマの港の前の酒場のマスターは陛下即位前からジェイドとも陛下とも知り合い。
グランコクマの中でも一番の好立地といえる位置にあるその酒場は、場所柄、様々な立場の人物がやってくる店だった。
港の眼前に店を構えているという事もあって、出される料理も新鮮な食材を使ったものが多く、酒場だというのに食事目的でやってくる客もいるほどだ。
軍本部が近いためだろう、そういった食事目的の客の中には軍人も多い。
特に多いのは、残業が多い上位軍人と見張りなどの任務がある為に家へ戻れない軍人である。
ただ、深夜に近い時間ともなると、圧倒的に上位軍人の数が増えてくる。
カウンター席の奥に褐色の肌をした青年軍人が席を取ったのは、そんな時間帯のことだった。
毎日カウンター内から酒を提供している次代マスターたる男でさえ、彼を見るのは初めてである。
という事は、最近グランコクマ駐留となったか、あるいは新人の部類か。
顔立ちは、常連である学者然としたあの軍人よりも幼く見えるから―――新入り兵の一人かもしれない。
そんなあたりをつけながら声をかけた男は、しかし返ってきた落ち着きのある声音と口調から、新入りという可能性をすぐに切り捨てた。
「グランコクマ駐留になったのは最近なのですか?初めていらっしゃったように思えるのですが」
「…いえ。いつもならば、本部内の食堂で済ませているんです」
応える声は、幼げな外見に反して低く落ち着いている。
その上どっしりと構えている将の如きその態度は、彼が並みの地位の人間ではないことを示唆していた。
これ以上の質問はするべきではない、とすぐに判断した男は、注文の品の準備をしながら他愛のない世間話へと話を逸らしていく。
そつなく、そして余計な言葉もなく応える様子は、さすがといったところだろう。
「ここは、場所柄お客様のような方が多くいらっしゃいます。お酒が入ると、宮殿での噂話などもされますね」
「…そうでしょうね。話さずにはいられないのでしょう」
言いながら、青年軍人は注文の蒸留酒を少しだけ口に含む。
彼の注文の品は、食事に関してはまず間違いなく、業務を片付けている途中で食事に出てきた上位軍人らしいメニューである。
しかし、そこに酒を追加したあたりが彼の不自然さを表していた。
これからも業務が残っている筈なのだから、酒を頼む筈がないのだ。
だから、何処かの派閥に所属する軍人が、情報収集に立ち寄っている―――青年軍人の目的は、そんなところなのだろう。
つぎはぎだらけの噂話を必死でつなぎ合わせて推し量るに、今宮殿では幾人かの皇子を担ぎ上げての帝位争いが起きているらしい。
あくまで憶測だが、青年軍人はその派閥のうちのどこかに所属し、情報を集めているのだろう。
ふと、常連客の一人である、目の前の青年軍人と年代が近いであろう軍人を思い浮かべて、男は一瞬だけ眉を顰めた。
「どうしました?」
軍人らしい機微で男の様子の変化を感じ取った青年が銀髪の隙間から鋭い瞳を覗かせたが、男も毎日酒場で色々な人間を相手にしている人間である為、そう簡単には気取らせない。
すぐに取り繕ったような笑みを浮かべると、なんでもないと返した。
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書きかけのまま放置されてたのでここに置いておく。
いずれ完結させたい…!
私の中で何故かグランコクマの酒場のマスターはかなり重要な位置にいます。
モブキャラなのに!
第三師団と同じかそれ以上に優遇してます。ダイスキです酒場のマスター!!!!
カレーのレシピを教えてくれる酒場のマスターダイスキです!!
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